日航、国際貨物値上げ要請 再建へ収益改善


 日本航空は国際航空貨物事業の抜本的なてこ入れに乗り出す。7月中に顧客に対し全路線で料金の30%引き上げを要請するほか、北米の貨物専用線を減便する。同事業は景気低迷による単価の下落が響き、2008年度は年間200億円程度の営業赤字だったもよう。政府の監視下で経営再建を目指すことになった同社は、営業赤字の約4割を占める国際貨物分野の立て直しで、収益改善を急ぐ。

 顧客である混載貨物業者(フォワーダー)に対し、近く料金引き上げを要請する。本格的な値上げはほぼ1年ぶり。上海、台湾向けの液晶関連部品や広州向けの自動車部品の輸送など一部で需要が回復してきたことが背景にある。

 現在は北米線で1キログラム当たり230〜510円、欧州で同420〜540円。景気低迷で昨秋に比べ、価格は30〜50%下落している。1〜3月の日本発の航空貨物の輸出実績は前年同期と比べ54%減少したが、4月以降は4割減とやや下げ止まっている。

 日航は値上げを受け入れなければ取引を打ち切ることも視野に入れ、交渉に臨むとしている。ただ値上げにはフォワーダーの強い反発が必至。「荷主からはむしろ値下げを要求されている」(大手フォワーダー)状況だ。

 長引く景気低迷で企業は物流費を削減する動きを加速させており、値上げの浸透は難しい。07年〜08年前半にかけて日航は徐々に料金を引き上げたが、当時は海運運賃も上昇していた。今は農機や半導体装置など緊急輸送の必要性が乏しい分野では海運にシフトする動きも出ている。

 日航は追加の減便措置も検討する。現在、北米の貨物専用線は成田〜シカゴ間を週5往復、成田〜ロサンゼルス間を週4往復で運航している。成田〜シカゴの一往復を残し、残りは週4便の成田〜シカゴ〜ロサンゼルス〜成田の「三角運航」に切り替え、輸送枠を10%削減する。

 欧州では3月にアムステルダム、フランクフルトを経由する路線を廃止。仏エールフランスとの貨物専用線の共同運航もやめ、輸送枠を半減させた。アジアでもシンガポールなどを経由する路線で大型から中型機に切り替えている。

 日航の08年度連結売上高1兆9511億円のうち、国際貨物事業は1521億円と1割以下。しかし営業赤字508億円の約4割を国際貨物が占める構図だ。

 日航は急激な業績悪化に対応するため、一部に政府保証が付いた日本政策投資銀行の危機対応融資を中心とする総額1000億円の融資契約を6月末に締結。引き換えに、政府の監視下で路線縮小や人員削減などを柱とする経営計画の早期策定を迫られている。貨物事業のてこ入れは、収支改善策の柱になる。